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水の精製法

 実験とは、「現象から推測される仮説をもとに検証を行う作業」です。その仮説が真実であるか証明するには、「一定条件で同一の現象を繰り返すことが出来る」こと、すなわち「再現性」が必要です。実験には水が用いられることが多く、水の純度によって実験結果に影響が左右されることも少なくありません。首尾よく実験するために、高い純度の実験用水を用いることが極めて重要になります。水の純度を高めるために、様々な精製法が存在します。

1. イオン交換法
〔定義〕イオン交換樹脂を用いる精製法
〔長所〕イオン除去に優れている・再生が可能
〔短所〕樹脂表面で微生物が繁殖する・再生に手間がかかる

2. 連続イオン交換(EDI)
〔定義〕電極・イオン交換膜・少量のイオン交換樹脂から構成されるEDIによる精製法
〔長所〕無機イオンの除去に優れている・イオン交換樹脂の再生が不要
〔短所〕樹脂の不純物付着を防ぐため、逆浸透膜による前処理が必要

3. 活性炭
〔定義〕活性炭(多孔性炭素質吸着剤)を用いた精製法
〔長所〕溶解有機物、塩素の除去に優れている
〔短所〕活性炭層内で微生物が繁殖する・吸着容量に限度がある

4. デプスフィルター
〔定義〕木綿やポリプロピレンなどの繊維を重ね合わせたフィルターによる精製法
〔長所〕目詰まりしにくく、汚れの保持力に優れる
〔短所〕圧力変動や流量変動により、粒子やフィルター素材が二次側に流出する

5. メンブランフィルター
〔定義〕窓の格子やふるいのような均一な構造をもつフィルターによる精製法
〔長所〕孔径より大きな分子(微粒子・微生物)を確実に捕捉する
〔短所〕目詰まりを起こしやすい

6. 限外ろ過膜(UF)
〔定義〕孔径100nm以下である限外ろ過膜を用いた精製法
〔長所〕エンドキシン、Rnase、コロイド状物質を除去できる
〔短所〕定期的に膜の洗浄が必要

7. 逆浸透膜(RO)
〔定義〕逆浸透膜というろ過膜を用いた精製法
〔長所〕無機物・有機物・微生物・微粒子を効果的に除去
〔短所〕精製された水の水質が原水の水質の影響を受ける

8. 脱気膜
〔定義〕脱気技術液体中から溶存ガスを取り除く技術
〔長所〕溶存ガスを除去する最も簡便な方法
〔短所〕真空ポンプや不活性ガスなどの機器が必要

9. 蒸留
〔定義〕物質の揮発性、沸点の違いを利用し、不純物を含む水から水を気化させて回収する精製法
〔長所〕水中の不純物を全般的に除去
〔短所〕精製速度が遅く、原水の飛沫同伴により水質が劣化

10. 紫外線(UV)
〔定義〕紫外線を照射することによる精製法
〔長所〕殺菌に有効で、有機物の酸化分解が出来る
〔短所〕後段でイオン交換樹脂などによる精製が必要