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「水に電気が流れる」とは

 「水に電流が流れる」とは、水中に含まれているイオンが電気を通すということです。水中のイオンは電気を運ぶ車のような存在です。例えば純水はほぼ電気を通しませんが、純水に塩化ナトリウムを加えると(塩水を作ってやると)、塩化ナトリウムは直ちにナトリウムイオンと塩化物イオンに電離し、これらのイオンによって電気を通すことができます。加える塩化ナトリウムの量が多いと、水中で電離するイオンの量も増えます。電気を運ぶ車が増えるので、たくさんの電気を流すことが出来ます。

 一方で、純水も全く電気を通さないわけではありません。水分子の数で考えると、水分子5億個あたり、1つの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに電離しています。ですので、このほんの僅かなイオンによって、電気を通すことが可能です。

 GDVで純水に0.5秒間、電圧をかけ測定すると、ほとんど発光が観測されません(非常に僅かな発光が見られます)。ですが、動画測定(30秒以上、水滴に一定の電圧をかけ続ける)を行うと、発光が徐々に大きくなります。これは、長時間の電圧印加により、水滴の絶縁性が破壊され、どんどん電気が流れるようになる状態を意味します。

 純水より更に理論的な「水」に近い水を超純水と呼びますが、超純水は別名「Hungry water」と呼ばれ、どんなものでも溶かしてしまいます。超純水を実験で用いるはずが、測定環境を整えておかないと、超純水の物性はあっという間に変わってしまいます。実験に必要な水の取り扱いは充分に留意する必要があります。