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吸着とGDV測定

吸着

 ある物質を水に溶かした時、その物質は液体界面か、液体内部に分布することになります。界面に分布することを正吸着、内面に分布することを負吸着と呼びます。例えば、純水に塩化ナトリウムを溶かした場合、塩化ナトリウムは純水内部に分布します。溶質が無機塩の場合は負吸着になるからです。この場合、界面は純水に近くなります。

GDVによる無機溶液測定

 GDVは、測定物に0.5秒間の電圧をかけ、瞬間の放電状態を測定する「静止画測定」と、最大で32秒まで測定物に電圧をかけ続けることが出来、放電状態の計時変化を測定できる「動画測定」があります。
 GDVを使用し、様々な研究者が静止画測定・動画測定を行い、異なった種類・濃度の無機溶液を測定しています。溶液の測定に関して、静止画測定では違いが検出されなかった溶液の比較において、動画測定で違いが検出されるという特徴があります。

ファイル 47-1.jpg

 上記は、2004年の応用物理学会で発表された文献に掲載されている同濃度の塩化ナトリウムと塩化カリウムの発光面積の計時変化です。0.5秒の静止画測定ではこれらの違いは検出されませんでしたが、8秒間の動画測定をした場合、0.3~6秒の間で統計的有意差が検出されました。

静止画測定では検出されない無機溶液の違いが、動画測定で検出されることは、興味深い内容です。
最初、負吸着によって溶質が分布されていなかった界面に電圧をかけつづけることによって、溶質分布の移動が発生し、発光面積に影響を与えた可能性が考えられます。

参考
<タイトル>
Time dynamics of the gas discharge around drops of liquids
<著者>
K. Korotkov, E. Krizhanovsky, and M. Borisova
D. Korotkin
M. Hayes, P. Matravers, K. S. Momoh, P. Peterson, K. Shiozawa, and A. Vainshelboim
<所属>
University of ITMO, Concordia University, Aveda Corporation
〈出典〉
応用物理学会(2004年)