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天然のものと人工的なものを分けるもの、それを評価するもの

オーガニックコスメ大手の米国AVEDAさんは、GDVの開発に携わった企業でもあり、
GDVを使用して天然アロマオイルと合成アロマオイルの違いを検出する研究されておられる企業でもあります。
なぜ、天然と合成の違いを出したいのか?それはどこまでも自然志向を追及されるAVEDAさんの姿勢でもあると思います。

現代科学ではわかっていないけど、分析手法では検出されない、「物質レベルではない何か」によって天然と合成の違いが生まれる。だから自然の物の方が良い、
という前提を出したのが研究前の初期段階であり、その証明のためにGDVを使われたのだと思います。

天然のものと合成のもの、どっちがいいかと聞かれると、多くの人は天然のものと答えるはずです。
では、なぜ天然のものが良いのか?

ここにニンジンが二つあります。一方は採れたての瑞々しいニンジン。もう一方は萎びたニンジン。
どちらが良いかと聞かれると、大半の人は瑞々しいニンジンを選ぶはずです。なぜでしょうか?

鮮度が違うから?では、その鮮度とは?
瑞々しいもののほうが生命力を感じるから?では、生命力とは?

人間としてどちらが良いかを考えると、すぐにそれを選ぶことはできますが、
測定をしようとなると指標がたくさんあって単純ではなく、難しい作業です。

それでも、「物質レベルではない何か」とは何なのか?それは測定できるものなのか、をこれからも追及していきたいと考えています。

仮説を立てて、それを証明するために様々試行錯誤されるAVEDAさんの姿勢はとても科学的であり、私たちも見習うべき姿勢です。
ともすると、疑似科学が蔓延しやすいかも知れないこの分野において、科学的な姿勢であることはとても大切なことだと改めて感じます。

GDVを理解するためのプロセス

GDVは世界中で研究されており、その研究内容は非常に科学性に富んだ内容から、研究者の自論を交えた内容まで、玉石混交である要素があります。GDVの基本的なメカニズムを理解するために、以下の適切な段階を踏むことをGDV開発者のコロトコフ博士は指摘しています。
まず前提となるのは、既に自明の理論や科学的根拠に裏打ちされた仮説と、科学的なファンタジーによる仮説とを区別する点です。
そしてGDVの研究は、以下の描かれた段階的アプローチに基づいて行うことを提言されています。

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インテグラル思想の代表的論客として著名なケン・ウィルバー氏は事象の段階について、
「後期段階レベルのものは、初期段階レベルにのものに基づいて成立し、それら無しに成立することはできない。「初期段階レベルのものは、後期段階レベルにもの無しにも存在することが出来る。」と述べています。

改めて上記の図を見ると、この段階構造は、どんどん複雑なものへボトムアップしていることが分かります。まずは自明の理論、科学的根拠に裏打ちされた仮説を充分に踏んだ上で、更に複雑な段階へ。このプロセスは、物事を「科学する」上で欠かすことのできない過程であると思います。

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  • GDVオフィシャルサイトをセラピスト向けにリニューアルしました。
    用途や使用方法がより分かりやすくなったページにぜひお立ち寄りください。

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    http://www.gdv.jp/

GDVの考え方

 GDVの考え方の基本は、バランスの原理となります。GDVの測定結果をどのように考えるかという解釈に関して、弊社のワークショップなどで、様々な内容が説明されていますが、原則として、バランスの評価ということになります。
 
 指の発光画像の視覚的診断の場合、それぞれの指の発光の幾何学的バランス、解析ソフトの一つであるGDVダイアグラムの場合、円に近いダイアグラム、時系列の診断をする場合も、一定のバランスを保ちながら、環境の変化に柔軟に対応していることが重要となります。
 
 人体は、適切な生命活動を維持するため、外的環境、人体内部の状況に応じて、
変化しています。客観的に見るなら、この変化は、全て人体に必要なために生じている ものであり、根本的に、健康と病気という善悪で判断することはできないところがあります。GDVは、この変化の一側面の観察を試みる技術で、現在における環境の適応性、生体の有する機能エネルギーを評価することを目的としています。
 
 このような観点から、東洋医学、またアロマテラピーやリフレクソロジーなどのセラピーなどの施術における生体への影響を評価する場合、GDVは非常に興味深い機器の一つだと思います。

生体リズム

 GDVの研究のテーマで進めてみたいと思うものが、生体リズムとの関係性です。今のところ、生体リズムにおけるGDVの測定データの相関性に関する研究資料は、見たことがありません。人は、生命活動をおこなう上で、一定のサイクルや周期性を有しています。
 この周期性は、秒単位なら心臓の活動リズム、時間単位でホルモン分泌、一日単位なら、体温や睡眠、月単位なら女性の月経などがあります。
 この周期性が乱れると、心身の不調や病気の発症などの原因となります。
 私達は、本来の自然に適応したリズムによる生活や活動をおこなうことは、重要だと考え、その一環として現在調べてみたいものが、特に、GDVのデータとサーカディアンリズム(24時間周期変動)の相関性です。

化粧品学におけるGDV技術の応用

 スパにおけるマッサージやフェイシャルエステ、頭皮マッサージ等による人の生理反応、香りを嗅いだ時の人の反応等、様々なシーンでGDVを使用することが出来ます。
 米国のアヴェダさんでは生体の測定だけでなく、エッセンシャルオイルや毛髪の測定もされています。例えば、カットされたばかりの毛髪と、そうでない毛髪の発光量、発光強度の違い等、様々な条件における毛髪のGDV測定をされ、研究に利用されておられます。
 人は香りに対し慣れることが出来ますが、人の精神状態や香り物質によって慣れるまでに時間がかかるものもあります。
香りを嗅いでからの時間の経過によるGDVの測定値より、被験者が香りに対しどのような生理反応の変化をするのかを調べることが出来ます。

〈参考〉
タイトル
GDV technology applications for cosmetic sciences
著者名
Vainshelboim, A., Hayes, M., Momoh, K.S., Raatsi, C.
Peirce, S., Korotkov, K., Prijatkin, N.
所属
Aveda Corp., Blaine, MN, USA
University of ITMO
出典
米国電気電子学会(IEEE)

発光画像のタイプ分け

 以前、適用されていたGDV画像の発光のタイプ分けの事例を掲載します。発光は、年齢、環境、精神状態、健康状態などにより変化します。
 現在は、別の方法でタイプ分けされるようになったが、こちらのタイプ分けの方がイメージしやすいので、参考に掲載します。

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癌を測定できるのか?

 GDVの世界の中での研究で、長年の大きなテーマの一つが、”癌の研究”です。
 昨年、コロトコフ博士が来日した際、日本とロシアの共同研究の話の中で、日本での癌患者の測定データが欲しいと言われていました。
 私自身、GDVにおける”癌の研究”が、既に癌を患っている人とGDVのデータの何らかの相関性を見出したいのか、それとも、現行の医療機器よりも、可能な限り早い、 癌の早期発見またはリスクの発見を目指しているのか、整理できていないところがあります。
 以前、癌の研究をしているスペインの研究者と話をする機会があり、ストレートに、「GDV測定により、癌がわかるのか?」と質問したところ、データの相関性はあるが、GDVの測定により、癌を見つけることは無理だと解答がありました。
 私自身、GDVの測定で、どこに、何の癌があるのかわかるとまでは考えていませんでしたが、癌患者の代謝の異常等何らかの傾向が、GDVに反映されていないかと、当時考えていました。
 また、イギリスにおいて、精神ストレスに関する研究をされている研究者と話をする機会がありました。この方は、ストレスとGDVに関係した論文をいくつか出されておられます。この方の意見として、ストレスと癌の関係、癌の可能性が高くなる精神的傾向があるのではと指摘された上で、その傾向をGDVで見出すことができないかと考えていると言われておられました。
 GDVは、発光画像を内容に応じて、タイプ分けをしますが、癌患者や重度な精神病患者は、独特の画像が出ることがあります。そのため、この分野の可能性は研究されていますが、様々見る限り、漠然とした状態にあるように思えます。
 独特の画像が出る理由は、私自身も漠然ながら推測はできるが、更なる詳細な科学的検討が必要だと感じます。

なぜ手の指を測定するのか?

 通常、人体の測定は、手の指(指の腹)を使用します。
 身体の中で、掌(てのひら)は、神経生理学から見ても、感受性が高く、変化が早いからです。例えば、緊張すると、掌に汗が出てきます。
 電磁界による皮膚の電気反応を見る上で、手の指の部分は、他の場所に比べて、変化がわかりやすいのです。

バイオフォトン(生物発光)

 生物は、バイオフォトンといわれる自発性粒子の放出である極めて微弱な発光(赤外線~紫外線領域)をもっていることは、学術的にも、よく理解されていて、国内外の大学や研究機関の研究で研究がされています。このバイオフォトンは、1930年代に、Aleksandr Gurvichによって、はじめて測定されました。この測定は、生物における紫外線域での光子の交換による、情報の調整のためであるということを証明しました。これらの光子は、生物の生理的規則性に関係しているとされ、特に酸化還元反応との関係性が指摘されています。

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Aleksandr Gurvich氏

 通常、バイオフォトンは、光電子増倍管という装置を使用する必要があり、測定するには、複雑なプロセスと手間が必要とされます。 GDVは、この電磁界を利用して、皮膚からの電子の誘発を生じさせ、電子を何千倍に加速させることで生じる発光現象を撮影する技術です。これは、自発性の発光のバイオフォトンとの相関については、海外の研究で指摘されています。 GDVは、自発性放出粒子と誘導性放出粒子の複合による発光現象をCCDカメラにより撮影しています。誘導性放出粒子とは、電磁界のエネルギーにより、人体から誘発された粒子を意味します。

生命の電子

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 発光の起因は、励起状態にあるタンパク質中のπ電子とされています。発光のプロセスとしては、この励起状態にあるπ電子が、電磁界のエネルギーにより、原子の外に電離して、そのときに光子を放出することになります。このπ電子は生命の電子といわれ、生命活動にとって、非常に重要な役割を担います。π電子は、結合エネルギーが弱く、不安定なため、化学反応に関係している電子であり、生体内での化学反応にとって重要な役割を担います。

 GDVの発光現象に起因する電子は、主にタンパク質分子(主な事例としてアルブミン)にある励起状態にあるπ電子、血液や細胞組織でのフリーラジカルを源にしていると仮説されています。これらは、生体のエネルギー代謝(ATPの合成)に関係していて、これらの状態を見ることにより、生体の保持する機能エネルギー状態を理解することができます。

 発光の起因は、励起状態にあるπ電子とされているが、測定により確認されたものではなく、理論的に推論したものであり、以下の理由を根拠とされています。

① GDVの測定条件(測定の周波数や電圧、時間)では、結合の弱いπ電子しか移動できない。
② π電子を電離させたときに発光するときのスペクトルが可視光線および紫外線となり、GDVの発光スペクトルと一致している。

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