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異なった農法による赤ワインの比較実験

 我々は、バイオダイナミック農法、標準の有機農法によって生産された赤ワイン(前者による赤ワインをA、後者による赤ワインをBとする)との間に、何らかの違いが検出できるかを調査した。
ワインの質を調査するために標準的な手法を用い、また、ホリスティックな質を品質を調査するために、気体放電視覚化技術(GDV)を用いた。標準的な手法には、ポリフェノール分析、トライアングルテストを採用した。
 結果、標準的な手法ではAとBとの間に違いは検出されなかったが、GDVで比較した場合、発光の明るさに偏差が見られた。品質に関する更なる研究は必要だが、GDVは植物の由来を検出することができる、ユニークな可能性があると結論付けることが出来る。

参考
Rotwein unter Hochspannung: Mehrjährige Qualitäts-Untersuchung mit Gas-Discharge-Visualisation (GDV)

第二言語(英語)学習における不安に関するバイオメトリック評価

 バイオメトリクスとは、解剖学的・生理学的・心理学的特徴に基づいた記録方法である。バイオメトリクスのツールの一つとしてGDVが挙げられる。GDVは個々人の生理・精神情動に関する機能状態を評価するツールである。

 第二外国語の学習は、母国語としない言語を学習することであり、英語は現在の国際語であり、英語を習得するための方法が幅広く研究されてきた。アメリカ合衆国においては、多くの人が英語を母国語として話すが、留学生は大抵このような英語環境に置かれたとき、様々な不安を経験する。留学生の1/3~半分は、第二言語を習得する過程で不安を覚える状態を経験していることが最近報告されている。第二言語を学習することにおける不安という現象は、学習の達成や言語運用に否定的な影響を与えることが、研究により確認されている。

 この不安に関する評価方法は、心拍率や血圧のような生理測定法、行動観察、学習者へのインタビューやアンケートなどがあるが、ジャクソン州立大学では、先行研究を基に、GDVを使用することによって、第二言語習得における不安を定量化及び視覚化できることを仮説付けた。

 言語学習における不安とストレスのような精神情動の側面は、手の平や指の汗を増加させたり、筋肉の緊張などの生理レベルとして現れる。このような生理レベルを基に、仮説を検証するために、GDVを使用して、試験的研究を実施した。

〔GDV技術を用いるESL学習過程の試験的研究〕

 ジャクソン州立大学のESLI(ESL施設)のトルコ、ベトナム、中国出身の留学生4名が我々の研究に進んで参加してくれた。第二言語を学ぶ上で最も習得しにくいのはリスニング能力だという我々の推測に基づき、まず初めに聴覚理解不安の研究をすることを選んだ。この試験的研究における我々の仮説は、非ネイティブスピーカーである彼らは、特にリスニングセクションにおいて英語での言語作業に関連した不安の表現を増大させるだろうということである。全ての生徒は、ELSIのELSコースにおいて中級レベルで登録されていた。学生は治験審査委員会(IRB)に従って同意書にサインし、IRBのガイドラインに従って本実験の目的と進行が説明された。7名募集されたが、GDV測定の第一段階に参加したのは4名だった(実験プロトコルを理解できたのが4名だけだったため)。
 我々は、GDVによって学生の指先の周辺の電子光学放出の静止画をリスニング学習の前後に測定した。

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図1 リスニング学習を受ける前後の4人のESL被験者のアクティベーション係数の分布
(上から、被験者1、被験者2、被験者3、被験者4)

 画像の記録は、フィルター無・フィルター有で行われた。アクティベーション係数、インテグラルエントロピーという二つのパラメータが分析され、これらは学生被験者の不安測定のための潜在的指標として考えられた。
使用されたアクティベーション係数に基づく不安のスケールは0~10であり、これらは主に4つのパートに分けることが出来る:0~2(低レベルの不安)、2~4(通常レベルの不安)、4~8(高レベルの不安)、8~10(ディストレス、変性意識状態)。リスニング試験を受ける前後に測定した、4人の被験者のアクティベーション係数が図1に示されている。この図で見られるように、4人の被験者の内、3人のアクティベーション係数は、テスト前に高く、テスト後に低くなっている。3人のアクティベーション係数は、5.37から4.66(13%減)、2.43~2.13(13%減)、5.42~2.06(62%減)とそれぞれ減少した。4人目の被験者に関しては、アクティベーション係数は試験の後に増加した(2.97~3.28に10%の増加)。我々は、リスニング学習の後に値が上昇するという予測をしていた。しかし、4人の被験者のうち、3人はリスニン学習の後のアクティベーション係数の増加が見られなかった。

 したがって、使用したアクティベーション係数は、ESLリスニング学習における不安評価には使用することが出来ない。しかし、スピーキングやリーディング、ライティングのような他の言語活動のための不安評価の測定としてアクティベーション係数が使用できる可能性は無視できない。

 一方で、インテグラルエントロピーの分布は、見込みのある結果を示した。インテグラルエントロピーとは、生理的、または精神情動的な要素におけるバランスの逸脱の指標である。インテグラルエントロピーに基づくスケールは主に4つに分割される:0~1(低レベルの不安)、1~2(通常レベルの不安)、2~4(高レベルの不安)、4以上(非常に高レベルの不安)。図2に示されるように、人間の脳の右半球に対応する左手のGDV画像を使用することで測定された被験者4人全てのインテグラルエントロピーは、試験前に得られた値と比べると試験後に増加した。学生被験者のインテグラルエントロピーは、1.77~2.08(18%増加)、1.77~1.90(7%増加)、1.73~2.06(19%増加)、1.58~1.76(11%増加)とそれぞれ増加した。したがって、少なくとも我々の試験的研究における結果から証明できる、リスクニング学習における第二外国語として英語を学習する上での不安の測定としてインテグラルエントロピーを使用することが出来る。

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図2 リスニング学習を受ける前後の4人のESL被験者のインテグラルエントロピーの分布
(上から、被験者1、被験者2、被験者3、被験者4)

 不安の測定としてインテグラルエントロピーを用いる我々の選択は、複雑系の科学や第二言語習得における文献からの推察によって正当化される。最近の文献から、右脳は、あまり馴染みが無く、訓練をしていない言語の学習に関わっていることが発見された。

 ラーセン・フリーマンによると、言語学習とは、ダイナミック、複雑、オープン、自己組織的、感受性によるフィードバックプロセスによる奇妙なアトラクタによって構成されている。新しい言語を学ぶことは非線形的なプロセスであり、例えば生徒がなじみ深い言語を聞くと、言語運用に心地よさを感じるが、先生が新しい言語を導入する瞬間、学習の進歩を促すどころか生徒の言語運用は堪能さを失う。なぜなら、生徒が心の中で構成された言語システムが新しい馴染みのない言語の導入に集中しているからである。したがって、一定な期間は、不安というカオスの状態が頻繁に続く。特に、新しい単語が導入されたとき、生徒は認識と理解のために言語システムを調整しなければいけない。インテグラルエントロピーは、不安というカオスの状態について個々人の生理的及び精神情動的な面からの変動を評価する。

 最近の研究結果は、言語処理に関する堪能レベルは、脳の半球によって重要な違いがあることが示され、人間の右脳がより関わっていることが示された。したがって、経験や訓練の少ない第二言語学習者のエントロピーの増加に影響を与えることが示された。我々の試験的研究の結果は、上記の発見に実証的な証明をすることを前提としたもので、第二言語としての英語のリスニング学習が人間の右脳の機能を活性化していることを示す。人間の脳は、言語の意味や音声の特徴を分析する原因となる。

ヘルスケアにおけるバイオエレクトログラフィック手法

ヘルスケアにおけるGDVの実用性を検討するために、2009年でアメリカで行われた実験を紹介します。

まず、GDVの主要なパラメータの信用性、再現性を検証するために、病気の無い健康な状態だとされる130名のGDV測定がされ、以下の3つの主要パラメータを算出しました。

①発光面積(Integral Area:IE)
②活性係数(Activation Coefficient:AC)
③エントロピー(Integral Entropy:IE)

GDVは、これらのパラメータの標準域を以下のように規定されています。
IA -0.6~1.0
IE  1.0~2.0
AC  2.0~4.0

今回の実験で130名のGDV測定から算出された3つのパラメータの平均値は以下の通りです。

AC 1.9

フィルタ無し平均値
IA 0.30
IE 1.99

フィルタあり平均値
IA 0.11
IE 1.98

IA、IEはパラメータの正常域と定義されている範囲内であり、ACは非常に近い値を示していることから、GDVのパラメータの信用性が認められました。

次に、130人の中で病気に罹るリスクを持っている2人と、持っていない3人とをGDV Diagramで比較しました。
*リスクを持っている2人:1日に20本煙草を吸う喫煙習慣のある人・ホルモンバランスが崩れている人

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ホルモンバランスが崩れている人は、目や耳、鼻、あごの洞、顎、歯、のど、気管、喉頭、甲状腺、および脳の部位の測定値が突出しています。
また、喫煙習慣のある人は、咽頭や甲状腺、また呼吸器の部位の測定値が欠損しています。

先行研究から考えても、標準域を越えて異常な数値が出ている人は、病気を発病するリスク抱えている可能性が指摘されています。

以上の結果から、GDVはヘルスケアにおける実用の可能性が認められました。

【文献】
タイトル Bio-electrographic Method for Preventive Health Care
著者   H. Cohly, N. Kostyuk, R. Isokpehi and R. Rajnarayanan

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供とその家族のGDV測定値の特徴

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供とその家族のGDV測定値の特徴

ASDの子供と、その両親、兄妹との間にGDV測定値の相関性はあるのでしょうか。
2009年4月、自閉症啓発ウォーキングに参加していたミシシッピー居住の6家族が選出され、実験が行われました。

 被験者は、軽度自閉症、またはアスペルガー症候群と診断されたことのある平均年齢9.3歳の5~12歳の範囲の男児(6名)と、彼らの兄妹、父親、母親の計24人です。

 結果として、ASDの子供、兄弟、両親の間に、以下の部位に発光の欠損が見られる共通点が発見されました。

■右手で発光の欠損が見られた部位
盲腸、虫垂、上行結腸、胆嚢、左腎臓、心臓

■左手で発光の欠損が見られた部位
下行結腸、S状結腸、直腸、左腎臓、腹部

測定値例 被験者の右手のGDV値

子供

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兄妹

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父親

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母親

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抗電磁波クリームを顔に塗布した際のGDV測定

 電磁波がヒトに与える影響を調べるため、アメリカにある世界的に有名なコスメ会社であるエスティーローダー研究チームが開発した抗電磁波クリームを用い、40名以上の被験者でGDV測定をされた事例があります。

 PCの電源をオンにした状態、オフにした状態でのGDV測定値の比較、抗電磁波クリームを顔に塗り、PCの電源をオンにした状態での測定、更にはクリームの効果に男女差があるか等、様々な条件で測定され、抗電磁波クリームの効果をGDV測定値から検証されておられます。

 なお、この実験でのGDV発光面積の大きさは、
PC電源オン+抗電磁波クリーム>PC電源オフ>PC電源オン
になりました。

〈参考〉
タイトル
Effects of exposure to electromagnetic fields from computer monitors on the corona discharge from skin
著者名
Cioca G., Korotkov K., Giacomoni Pu., Rein G., Korotkova
所属
New Venture Technologies, Estee Lauder Companies, Melville, NY, USA
University of ITMO

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